ベルリンからローカルな環境政策や草の根NGO・市民活動、サステナブルな暮らしなどをレポート。


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東京FMでドイツのエネルギーのお話

3月以降ドイツのエネルギー事情への関心が高まっていて、ラジオのお仕事が増えています。

今度は東京FMでおしゃべりしますので、今日の放送ですが関東のかたはよかったら聴いてみてください。

●放送局:TOKYO FM(80.0Mhz)
●放送域:東京、神奈川、千葉、埼玉(radiko:茨城、栃木、群馬)
●番組名:シナプス
●ナビゲーター:やまだひさしさん
●放送日:2011年11月9日(水)日本時間で午後1時〜4時の間(出番はたぶん3時以降)

翻訳稼業の地味な私には、ラジオの世界というのは気後れしてしまうところもありますが、「対象にわかりやすい言葉でメッセージを伝える」という面では同じことですから、これもトレーニングと思ってお引き受けするようになりました。(実は福島原発事故の直後にいただいたお話は、精神的に辛くて引き受けるとことができず、代わりにレポートを書かせていただきました。)

このブログのお引越し先をただいま準備中です。
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by yumikov | 2011-11-09 10:31 | 環境のこと

World Joint Club 6月号でドイツのグリーン電力選びを紹介

福岡のフリーペーパーですが、こちらのブログ記事をもとに「自由な電力会社選びでグリーンエネルギーが成長」という記事が紹介されました。ウェブサイトでもダウンロードできますので、よかったらご覧ください。

ワールドジョイントクラブ
WJC vol.64 6月号 16ページ

元ネタはこちらの記事「原子力ゼロの電気が買えるのがあたりまえの未来

脱原発の議論とともにグリーン電力にまつわる議論が日本でも盛んになっているようですね。朝日新聞にもドイツの家庭での電力消費などが紹介されていたとか。

メディアでも日常会話でもそうしたことに話題が向くのは喜ばしいことですが、気になるのが「脱原発すると一般市民の電気料金が高くなる」とか、「ドイツの電気料金は高い」とか言われているとかないとかいう話。きちんと具体例に基づいて実状を紹介して欲しいということもあって、我が家の光熱水費はつつみ隠さず公開しています ^ ^)。うちは自然エネルギーへの投資がエクストラでついた上のグリーン電力で3人家族で月30ユーロ(約3,500円)前後ですが、高いですかね? 私は自分の購入する電気に非常に納得&満足しているんですが。
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by yumikov | 2011-07-05 06:36 | 環境のこと

原子力発電所を考古学的に撮った映画『Unter Kontrolle』

今年のベルリナーレで観る予定が、息子の急病でドタキャンした映画『Unter Kontrolle』(英訳するとunder control)の上映が始まったのでようやく観てきました。

このドキュメンタリーではドイツ各地とオーストリアの原発施設を次々とめぐります。

私も4月に訪れたグローンデ原発から始まり、福島原発後の措置で1号機が停止となったフィリップスブルク原発、東西ドイツ分断時代に東ドイツぎりぎりに建てられた放射性廃棄物貯蔵地モアスレーベンの地下、旧東にあり廃炉となったがいまだ解体作業の続くグライフスヴァルト原発、運転前にあえなく廃炉となって今は遊園地となっているカルカー高速増殖炉、同じく完成したものの国民投票で操業ストップとなったオーストリア最初で最後の原発ツヴェンテンドルフ原発などなど。

「原子力の考古学」という副題がついたこの映画、一世紀前の機能美というかテクノロジーや建築美といったものを描いているということで話題になっていました。「ユートピアは現実によって挽回された」。皮肉にも今このタイミングでの公開です。トレーラーはこちらから。未来から撮ったようなこの映画、日本でこそ多くの人に観てほしいと思ったし、20年後にもう一度、息子と一緒に観てみたいと思いました。

ところでオーストリアのツヴェンテンドルフ原発は、現在はドイツなど外国の原発作業員研修に使われているとは聞いていたけれど、2年前になんと太陽光発電所に生まれ変わったそう!外壁などにソーラーモジュールを搭載。そして福島第一原発と同時期(70年代初頭)に建てられ構造も同じ沸騰水型軽水炉で、安全に見学できるということからメディア対応に追われているそうです。放射線よりも太陽光を浴びようというのがオーストリアの選択。
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by yumikov | 2011-06-29 05:07 | 環境のこと

グローバルネット記事『原子力エネルギー×持続可能な発展のための教育(ESD)』

月刊誌『グローバルネット』で連載中の「ベルリン発サステナブルライフ考」。5月号のテーマは、サステナビリティ教育の視点からみた「原子力エネルギー」です。タイムリーな話題を多くの方に読んでほしいという編集部の計らいで、通常よりも早いタイミングでの転載を許可いただきました。グローバルネットの特集も「災いを転じて・・・」と興味深いものですので、本誌のほうもぜひお読みください。

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(以下、地球・人間環境フォーラム発行の月刊誌『グローバルネット』5月号より転載)

ベルリン発サステナブルライフ考
原子力エネルギー×持続可能な発展のための教育(ESD)
翻訳者 ユミコ・アイクマイヤー


3.11の後、ドイツの教育関係者も対応に大わらわだ。地震や津波そして原発事故について子供たちに説明する必要性に迫られているからだ。州の教育担当や環境教育や政治教育センターなど、まず現場に近い機関が迅速に動いて授業に活用できる情報源をまとめた。教材専門の出版社は専用の教材を作成し、無料ダウンロードできるようにした。政府も背景情報を学ぶための情報源などを公開している。エネルギー教育を行うNGOはひっぱりだこだ。ドイツの子供たちも不安を抱えており、親としても説明が求められる。

 そのなかで教育・科学組合(GEW)の反応が注目されている。これは保育士や教員、研究者の労働組合であり、ドイツ最大の労働組合組織ドイツ労働総同盟(DGB)の傘下にある教育部門という位置づけである。GEWは3月17日開催の理事会で一つの宣言文を採択した。これは日本の災害を受けた宣言で、原子力エネルギーとの決別を名言している。

 宣言文の後半の要旨は以下の通りだ。「われわれは教育者の組合として、今日および将来世代が人間の尊厳ある健やかな生活を送れることを目指しており、そのため原子力エネルギーの利用を明確に拒否する。原子力発電所の稼働延長を即刻撤回し、脱原発を貫くことを(政府に)要求する。青少年や大人が日本の災害を正しく理解する手助けをし、大学講義や授業、保育、研究会、公的な催しなどにおいては、原子力の危険性を批判的に見た上で解釈するよう、組合員に呼びかける。学校や大学のカリキュラムに持続可能な発展のための教育(ESD)を組み込むことを求める。大学や研究機関、研究助成機関、研究者個人には、自らの研究活動の帰結を常に省察し、科学の社会的な責任を意識することを期待する。大学や研究機関は研究やテクノロジーの影響を体系的に研究し、その結果を公で議論できるようアクセス自由にしなければならない」
 GEWはすでに1980年に原子力のエネルギー利用を拒否する採択をしているが、3.11を機にその立場を強めていく決意を発表したことになる。

 ドイツでエネルギー教育といえば再生可能エネルギーや省エネが中心で、原子力をメインに据える例を聞いたことがなかった。そこで教員やESD関係者、NGOに話を聞き、各州のカリキュラムも見たが、学校の授業自体で扱う内容に大幅に差があるとは思えない。原子力産業による教材もあるが、電力会社も教育活動としては火力発電に重点を置いている。調べるうちに、原子力エネルギーを持続可能な発展のための教育(ESD)で扱う例が出てきた。


話題を呼んだ連邦環境省の教材

 ドイツ連邦環境省は2007年に「停めても全然問題ない?〜脱原発をめぐる事実と論点」という教材を作成した(下写真)。これは脱原発政策を進めた前政権下で作成されたもので、教員が自由に活用できるようウェブサイトからダウンロードできる。子供たちがドイツの原子力エネルギー利用の実状やリスクを整理し、対立するさまざまな意見を知った上で、年齢相応の自然科学的・技術的知識に照らして原子力エネルギーに対する自分の考え方を構築し、それを精査できるようになるのがねらいだ。

 教材は、ワークシート、参考情報、インターネットでの調べ学習のためのリンク集、理解度チェックのためのテストと解答例、教員向けの情報で構成されている。対象は8〜10学年(13〜16歳)だ。ワークシートは、電力供給、気候影響、原料、事故、放射性廃棄物と最終貯蔵をテーマに対立する意見を学びながら進む。合間にはリスクに対する見方の違いや、チェルノブイリ事故の経過、世界での原子力エネルギー利用とその事情、各原子力発電所の停止スケジュール(当時)などの情報も掲載されている。教員向けの情報としては、ワークシートの活用法や解説、カリキュラムや各教科との関連が書かれていて、科学的リテラシーの説明と練習問題での評価法、ESDの対象となるコンピテンシーの説明と自然科学分野での学習目標の例、原子力エネルギーをテーマとした学習目標の例などが丁寧に説明されている。

 ドイツのESDの第一人者ベルリン自由大学のデ・ハーン教授が教材開発のプロジェクトメンバーに入っていただけのことはある。これを読むと、魅力的で前向きな原子力エネルギー授業ができそうな気になる。教材は国連ESDの10年のドイツオフィシャルプロジェクトの認定も受けている。練習問題に「地球サミットで定められた予防原則と照らして原子力エネルギーを捉えると、どのようなことが導き出されるか」といった問いまで登場するのには驚いた。確かに中立的に対立する意見を取り上げてはいるが、私には脱原発を正しく理解するための「脱原発教材」に見える。

 脱原発を望む人びとは政策の流れに合わせて作成されたこの政府の教材を歓迎した。しかし、連邦経済技術省や一部の政党からは「原子力に対してネガティブな見方に偏っている」「現在開発中の技術の説明やデータが載せられていない」など強い反発が起きた。しかし環境省は対応を変えなかった。現政権に代わった直後、この教材は突然ウェブサイトから消えた。今度はNGOが抗議し、現在はまた配布されるようになった。脱原発をめぐる議論が急速に動いている今、一部の内容は現状と合っていないが、原子力というテーマを前向きに扱う視点として、今なお参考に値する。


若者による若者のためのエネルギー教育

 上写真の三つ折りリーフレットはシリーズになっている。「ウランはどこからくる?」「核廃棄物はどこへ?」「原子力発電は温暖化を救う?」「原子力発電の電力は一体いくら?」など、原子力にまつわるティーンエージャーからの代表的な質問に答える形式だ。このリーフレットを作ったのは、自然の友という自然保護団体の青年部が立ち上げた「脱原発に関する環境教育イニシアティブ COUNTDOWN 2021」である。メンバーは16〜24歳の若者だ。

 彼らは、脱原発はESDにおいても重要なテーマであるとみなし、若者への情報発信を行っている。脱原発を考えるには十分な背景知識が必要だが、若者にとっては専門的な情報や報道をそのままのかたちで消化するのは難しい。それをかみ砕いて説明しているのがこのリーフレットだ。学校授業での活用も勧めている。ウェブサイトも充実しており、脱原発に関する情報を発信している。各政党の脱原発に対するポジションも公開しているが、これは原子力発電所の稼働延長が争点となった2009年の総選挙前に、各候補者に公開質問状を出して得た回答だ。ここで彼らは、エネルギー政策は未来世代に関わる問題であるにも関わらず、選挙権がない18歳以下は問題の決定に参加することができないという矛盾を突きつけ、選挙権のない子供たちの声も代表することになることを念頭において欲しいと訴えている。

 政府の教材の最後は、ドイツ基本法第20a条の言葉で締めくくられる。「国家は将来世代に対する責任においてもまた、生命に不可欠な自然条件を保護する」。サステナビリティの視点で原子力エネルギーを見る。私たちもそのトレーニングをしていこうじゃないか。
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ドイツ連邦環境省の教材「停めても全然問題ない?〜脱原発をめぐる事実と論点」へのリンクはこちら

脱原発に関する環境教育イニシアティブ COUNTDOWN 2021へのリンクはこちら
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by yumikov | 2011-05-24 20:06 | 環境のこと

鎌仲監督作品ドイツ上陸

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先週フランクフルトで開催されたヨーロッパ最大の日本映画祭NIPPON CONNECTION。福島の事故を受けて鎌仲ひとみ監督の『六ヶ所村ラプソディー』と『ミツバチの羽音と地球の回転』の緊急上映が決定!ということで行ってきました。ハインリヒ・ベル財団などの協力により緊急に上映が実現したらしい。エネルギーの視点から核の問題を問う3部作の2作品。

上映前に監督に「原子力?おことわり」ポスターを渡すと喜んでくれた。ベルリンからわざわざ持っていった甲斐があったというものだ。それにしても女子校生のように出待ちをして「これどうぞっ!」と渡したものが反原発のポスターなんてね。

『六ヶ所村ラプソディー』で印象的だったのは色々あるけれど、農家の女性たちの言葉。「反対運動一辺倒でなく日々の暮らしを楽しみながらやっていきたい」といったチューリップ農家の女性や、「原発問題に中立というのはないんだよ、中立では容認することになるから結果的に賛成になるんだよ、とある人に言われ、そこから考え出した」という、無農薬でお米を作っている農家の女性の言葉。お二方ともとても素敵で賢い女性だと思った。埼玉の実家では例年GW時期が田植え。土は、水はどうかな・・・、と思いを馳せた。

今回の上映はなんと監督ご本人による英語ナレーション。上映後には監督のトークがあり製作の裏話などが聞けた。200人くらい来てたと思うけれど、日本人は10人程度だった。もっと日本人に観て欲しかったな。会場では友人と作成したドイツのローカルなエネルギー政策事例のパンフレットをちゃっかり配布。ベルリンにも誘致できたらよかったけれど、自主上映会でもやりますかな。

地方紙に鎌仲さん登場しているので、ドイツ語のわかる方はこちらこちらをどうぞ。

このところ土と共に生きようという思いがさらに強くなっている。それに反して実際は、3月から生活がガタガタで庭の手入れも種まきや苗の準備もおろそかになっている。これじゃあいかんいかん。
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by yumikov | 2011-05-05 21:33 | 環境のこと

【土曜日まで】子どもに年20ミリシーベルト撤回を求めるオンライン署名

皆さんはもう署名を済まされましたか?

文部科学省が19日に発表した「福島県内の学校等の校舎、校庭等の利用判断における暫定的考え方」についてを読んで、私は抗議文を文部科学省と官邸に送りました。1. 基準の妥当性の根拠説明、2. 予防原則を考慮した安全な基準の設定、3. 学童疎開体制の迅速な用意の3つを求める内容です。お返事くるかしら?

子どもに「年20ミリシーベルト」撤回を求めるオンライン署名なら簡単に意見できます。土曜日までの緊急募集。eシフトのサイトからどうぞ。

これが当事者にとってどのような基準かなのか、福島老朽原発を考える会(フクロウの会)のサイトもご覧ください。特に【福島原発震災(48)】0.6μSV/h以上の学校の授業中止と学童疎開を、の記事を。福島の方々の不安な気持ちを思うと、同じ子を持つ親としていたたまれません。

ドイツのメディアの反応としてSpiegel Onlineの記事も参考までに。日本語訳(抜粋)はこちら
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by yumikov | 2011-04-27 06:36 | 環境のこと

トラクターTraktorと原子炉Reaktor

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今年のイースター休暇の締めくくりは原子力発電所の前で過ごした。明日4月26日でチェルノブイリ事故から25年になる。ドイツではイースターの最終日の今日、原子力発電所や中間貯蔵施設のある12ヶ所に人々が集まった。
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グローンデ発電所はノルトライン=ヴェストファレン州のヴェーザー川沿いに建つ原子力発電所だ。1977年の建設時には敷地内で2万人近くの人が抵抗し警官隊との激しい攻防があったそうだ。今年に入ってからもセラフィールド(イギリス)の再処理施設からのMOX燃料輸送に対しデモがあったという。原子炉にだいぶ近づいて見えてきたずらっと並ぶトラクターに「これか!」と感動を覚えた。かつて70〜80年代の反原発運動で活躍した伝説のトラクター。80台集まった各トラクターにはそれぞれメッセージが。「原子力エネルギーがイノベーションの妨げとなっている」「トラクターに乗った農家が病に倒れたと思ったら、近くにレアクトアー(原子炉)が」(←韻を踏んでるのがドイツらしい)
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決起集会で農家の人が語ることばも重みが違う。原発付近で暮らし作物を作る農家の切実な声。周辺に原発のないベルリンでのデモでは聞くことがないものだ。消費者に安全な作物を届けるために土や水とともに暮らしている農家の人たちだからこそ、その土地を守りたいという想いが強いのは当然だろう。
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畑の広がる片田舎に人が溢れている。ポニーの乗馬サービスを楽しむ子供たち。ソーラークッカーでの実演調理は大人気。グリーン電力会社は「もう変えましたか〜?」と営業。夏日の今日、アイス屋さんは大繁盛。出店はオーガニックのパンや野菜でVegan対応、ビールはオーガニック。器はデポジット式で自分で洗浄&返却、と環境面も徹底されて、まるでアースデー。そう、日本では今週末アースデー&エネルギーシフトパレードだったんですよね?
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3月11日がチェルノブイリのように記憶に刻まれるのはすごくつらいこと。でも25年前を振り返り、25年後を思う。25年後のその日に自分はどこでなにをしているだろう?トラクターでどこかに乗りつけているだろうか!?
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by yumikov | 2011-04-26 05:23 | 環境のこと

グローバルネット記事『暖房キノコとたばこのいい関係?』

月刊誌『グローバルネット』に連載中の記事、3月号には暖房キノコと呼ばれる屋外用ヒーターを取り上げました。
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(以下、地球・人間環境フォーラム発行の月刊誌『グローバルネット』3月号より転載)

ベルリン発サステナブルライフ考
暖房キノコとたばこのいい関係?
翻訳者 ユミコ・アイクマイヤー


ヨーロッパでの暮らしでカフェは身近な存在で、皆ゆったりと時を過ごしているように見える。とくに人気なのが店外のオープンカフェスペースだ。夏場など外は満席、店内はがらがらということはざらだ。肌寒い季節でもコートを着たまま外に腰かける人も珍しくない。それが何年前からだろうか、カフェやレストランのオープンスペースで長身の円筒型のヒーターを目にするようになった。アルミニウムの反射板が傘となっているその姿から暖房キノコと呼ばれている(写真)。

煌々と火が焚かれるそばに腰を下ろせば、暖をとりながら食事やお茶ができるというわけだ。調べてみると2004年の冷夏の際に人気が急上昇し、2008年までにベルリンだけでも5,000台に増えたといわれる。

喫煙者の健康を守る?ガスヒーター

 暖房キノコの繁殖に拍車をかけたのは禁煙法だ。ドイツでは2007年から州ごとに法を定めて公共の場や飲食店内での喫煙禁止を導入してきた。バーやビアホールでもたばこが吸いたければ外に席を取らざるを得ない。それで冬場の客足を確保するために暖房キノコを導入する店が増えた。禁煙法はEU(欧州連合)全体で導入が進んでおり、フランスやスウェーデンなど他のEU諸国でもこうしたガスヒーターが増えている。

 しかし温暖化対策の観点から規制する都市も増えている。暖房キノコ1台が排出する二酸化炭素(CO2)は、年間最大4t(ガス式で週36時間使用の場合)にのぼるという。テュービンゲンやプフォルツハイムなどでは完全に追放した。しかしシュツットガルトのように逆の展開もある。すでに市街地では規制されていたが、禁煙法導入後に強い反発が起き、20時以降は使用していいことになった。スイスでは連邦議会にかけられたが国レベルでの規制には至らなかった。店外でたばこを吸わざるをえない喫煙者を肺炎から守るためには必要という声もあったというからあきれる。

 しかし、「喫煙者は外、嫌煙者は内」がいいアイデアなのかは疑問だ。喫煙者が外に追いやられていると感じている一方で、嫌煙者にはオープンカフェの外のベストな席を喫煙者が占有しているように見える。メインの部屋とは別に喫煙室を設置することは認められているが、それができない小さな店には外しか残されていない。禁煙法は各州で波紋を呼んでおり、いまだに嫌煙者と喫煙者の共存が議論されている。

行政とメーカーの攻防戦

 現在ベルリンでは気候保全法制定の動きがあり、その枠組みで州レベルでの暖房キノコの禁止が検討されている。しかし法案の調整に時間がかかり、思うように進んでいない。12のうちの5つの区は、しびれを切らして2009年から公道での暖房キノコ規制を独自に開始した。路上での営業には道路法の特別営業許可が適用されるが、暖房キノコは対象外とする。しかし地区ごとに取り締まりが異なるため、効果もばらばらだ。撤去が進んでいる地区もあるが、行政の通告を無視している地域もある。年中旅行者が絶えないため100ユーロ程度の罰金など痛くもかゆくもないようだ。2つの地区での規制を導入しているハンブルクでも同じことが言える。

 禁止から2年が経った現在も、一部のレストランやカフェではあいかわらず暖房キノコを使っている。なんと、よく見ると半数近くが電気式だ。暖房キノコは当初ガス式だったが、メーカーが「環境にやさしい電気式」を出し始めたのだ。現状で規制対象はガス式だけだからである。外壁に固定するタイプの赤外線暖房も登場している。路上に設置するわけではないので将来的にも道路法の規制対象にならないだろうと踏んでのことだ。暖房キノコの名づけ親でベルリンで販売・リース会社を営んでいるミヒャエル・シュルツ氏は規制対策に追われている。同社のWebには「ここはいつでも常夏さ!」のうたい文句が目につく。暖房キノコが1本売れるごとに、木を1本植樹するキャンペーンを開始したのは、規制への反発からとしか思えない。

ニーズを踏まえたサービスを

 飲食店の本音はどうなのだろう? ふたを開けてみれば規制を歓迎している飲食店も少なくない。暖房キノコの維持には当然コストがかかる上、安全管理も必要だ。お客が流れるのを恐れていただけで、近くに暖房キノコを使う店がなければあまり問題はないわけだ。お客の方も本当に外の暖房を必要としているのかは疑問だ。多方面で環境政策が導入されているお国柄、暖房キノコは結構目立つ存在だ。怪訝そうな顔でその脇を通りすぎるのは私だけではない。地元の人に愛される店になるには、もっと長期的な視点で見て別の面でサービスに力を入れるべきだろう。

法的規制か、自主協定か
 
暖房キノコの規制によって、ガスから非効率な電気の熱利用へ切り替わったのは悩ましいことだ。緑の党はこうした状況を受けて、「暖房キノコは毒キノコ」キャンペーンを開始した。ガスだろうが電気だろうが、固定式も可動式も、公道でも私有地でも、いかなる方法であれ外気を暖房するという愚かなこと自体を禁止せよという主張だ。ヒーターの種別で規制してもいたちごっこになるのは経験が証明しているからだ。州政府の気候保全法制定に時間がかかるなら現行のベルリン省エネ法を改正して規制するよう求めている。それができればいいとは思うが、ドイツ全体で暖房キノコが減るわけではない。

 ドイツ連邦環境庁も屋外での暖房使用自体を問題視して、環境負荷をわかりやすくパンフレットにまとめて配布しているが、連邦レベルでの規制に踏み込む様子は今のところない。EUレベルで暖房キノコを法的に規制することも考えられるが、大変な事務作業を伴うため、むしろミュンスターの自主協定のような自主的な放棄が望ましいとしている。

 ミュンスター市はホテル・飲食店組合と協力して、店ごとの自主的な取り組みを呼びかけている。ブランケットを無料配布し、暖房キノコ放棄宣言をしてもらうというものだ。約30店舗が参加しており、卓上にはシロクマの写真の宣言文が並ぶ。これは一人の市民の行動から始まった。映画館を営むトーマス・ベームさんが暖房キノコの設置を検討した際に、これがいかに環境負荷の高いものかを知り、市に暖房キノコの使用禁止を求めるべく住民提案(市議会が特定の事項を取り扱うことを請求する制度)を提出した。提案は退けられたものの、市は啓発キャンペーンを約束した。それが実ったかたちである。

 個人のベランダに暖房キノコを見かけたときにはぎょっとしたものだ。人間の飽くなき欲望のために非効率な方法でエネルギーを無駄にするのがいかに愚かか、それが人間としての自分の尊厳を傷つけるものだとは、外から言われてすぐに気づくことではない。温暖化対策といっても聞く耳は持たないだろう。ケルンでは景観を損ねるという理由から、ニュルンベルクでは店外に喫煙者がたむろするのを防ぐ騒音防止の観点から、暖房キノコが禁止されたそうだ。こうしたアプローチも悪くないのかもしれない。
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by yumikov | 2011-04-21 07:15 | 環境のこと

あとに続け!エネルギーシフト

NHKでも報道されたとおり、メルケル首相は昨日行われた各州首相と関係閣僚によるエネルギー政策会議で「できるだけ早く原発から再生可能エネルギーへと乗り換えたい」と言いました。忘れないよ、メルケルさん。たとえ他の国がついてこなくてもドイツはやってみせるしかない。

この昨日の会議前にもアクションがありました。参加者が首相官邸入りする時間に合わせて。原子力発電所ドミノを倒していってメルケル首相とレットゲン環境相があわあわ。よくまぁ毎度こうしたアクションが思いつくものだ。



私のまわりでも日本のエネルギーシフトのためのプロジェクトが色々同時進行中。最近デモの話ばかり書いてますが、なにも私も反対の声を上げているだけではなく、未来のエネルギーの道筋を描こうとしています。今住むドイツのことも大事だけど、日本は今が正念場でありチャンス。なので今は日本優先で、デモ参加は25日までお預けかな。
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チェルノブイリ25周年を記念してドイツの原子力発電所12ヶ所で行われる同時多発デモです。日本でも24日(日)にまた色々あるみたいですね。連携していきましょう!
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by yumikov | 2011-04-17 05:32 | 環境のこと

♪abschalten! Atom-Atomkraft, abschalten! jetzt, jetzt, jetzt♪

NPO環境市民さんにドイツの反原発デモの様子をこの1年を振り返って紹介しました。

「ドイツで再燃する反原発運動の今」
「デモの裏方事情」

よかったら読んでみてください。



先月26日のデモのビデオをアップしてみました。Youtubeにアップするのは初めてなのでうまく見られるかどうか。ドイツ環境自然保護連盟(BUND)の山車とそれに続く市民。音楽に合わせたシュプレヒコールはabschalten! Atom-Atomkraft, abschalten! jetzt, jetzt, jetzt(停止せよ、原子力。停止せよ、即、即、即)グループによって主張も多少違うのでどこを歩くかはいつも選びます。

この週末、特に4月10日には、日本各所で脱原発デモやイベントが企画されているようですね。札幌、新潟、東京、鎌倉、静岡、名古屋、大阪、京都、富山、広島、福岡、沖縄と本当に北から南まで。もし今日本にいたらきっと高円寺に足を運んでいただろうな。だってジンタらムータのライブがあるから。ソウルフラワーや渋さ知らズ、シカラムータ好きな方は必聴です♪ ひとを動かすのは最終的にはことばでなく感動なのかもしれない。

自分にできることのひとつは、今いる場所でこれまでどおり脱原発に向けて行動し続けること、原発のない未来をめざして今活動している人しようとしている人にエールを送ることだと思っています。ほんとは音楽で感動を与えられたらそっちのほうがよっぽど格好いいと思ってるんですけどね060.gif

桜の咲きはじめたベルリンより。
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by yumikov | 2011-04-09 06:12 | 環境のこと

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月刊環境情報紙グローバルネットにて”ベルリン発サステナブルライフ考”連載中。(2010年5月号〜)

NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J)のドイツ地域レポーターをやっています。

ご意見・感想、叱咤激励もお気軽に。
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