ベルリンからローカルな環境政策や草の根NGO・市民活動、サステナブルな暮らしなどをレポート。
by yumikov
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校庭のエコロジー改造とドイツのESD
今日5月22日は生物多様性の日。
環境教育・ESDのパイオニア阿部治氏と川嶋直氏がベルリンの学校の校庭のエコロジー改造プロジェクトを視察されるということで同行してきました。
Grün macht Schule
というこのプロジェクトへはベルリンの学校約900校のうちのべ600校ほどが参加しています。
日本では"緑が学校をつくる"プロジェクトとして紹介されていますが、「Schule machen」という慣用句には「模範となる、手本とされる」という意味もあるそうで、"緑広がる"プロジェクトとか、Grünをエコロジーの意で取ると"エコロジーを学校に"プロジェクトとでもなりましょうか。
昨年講演で来日されたGrün macht Schuleの代表オルトルート・クールさんの案内で、それぞれ特色のある学校3校を見学しました。
クロイツベルク地区の小学校では、改造が終わった中庭の落成式のセレモニーとして、プロジェクトに関わった行政担当者や景観プランナー、建築基礎担当者、子どもたちとの植樹に参加させてもらいました。
移民の多いクロイツベルクですが、8~9割がたトルコ移民の子どもたちということで、教員が「ドイツ語で喋って!」と注意しなければならないほどでびっくり。言葉だけではなく家庭の問題も抱える子どもたちも少なくないそうですが、子どもたちが主体となった校庭のエコロジー改造はよい影響を与えているそうです。
学校のESDを推進するためのプログラムTransfer21に参加しているシュテークリッツのギムナジウムでは、マックスとパスカルという生徒が案内してくれました。
ボールが飛び出さないように改造中の校庭や、緑のカーテン、生物の授業を中心に作っているハーブや野菜の畑、コンポスト、廃木を運んできて作ったビオトープ、雨水を集めて貯まるようにしたビオトープ、虫のためのビオトープなどなど。
この学校は既に3回環境学校の認定を受けています。
なお、この学校には小さなカフェテリアがあるのですが規模が小さすぎるため、隣の市の所有地に大きな設備を作るよう生徒や保護者が要請しているそう。そのため今日なんとストがあり、登校する生徒が少なかったとのこと!
最後に訪れたシュテークリッツの小学校の校庭は、子どもたちの願いを集めて作った多様な庭。
庭の中心には岩や大きな石からなる小川が流れています。子どもたちはポンプで水をくみ出し小川に水を流して遊びます。敷地はどこもアスファルト化されてなく起伏のある土や芝生でできており、オアシスと名づけられた緑地や、ピザやケーキが焼けるかまど、大きな石のモニュメント、ハーブガーデンなどに混じって、体育の教員が運動のメニューを専門家と相談して作った遊具などが並んでいます。
訪れた放課後時には、学童保育の子どもたちがたくさん遊びまわっていました。校長先生が強調していたのは、5年前にこの校庭ができてから明らかに事故が減ったということ。以前のまっ平らの校庭だった時よりも、子どもたちは自分で気をつけるようになり、ケンカをしたりすることも格段に減っているでそうです。
この小学校は、校庭の敷地内に浄水設備(近隣の高速道路から出る排水を城下する)を設置するために市から補償金を受けることができたそうで、ラッキーだったんですね。
夕方にはTransfer21のコーディネート事務局を訪れ、ベルリン州のプロジェクトリーダーの方からドイツの学校におけるESDの概要(BLKプログラム21、Transfer21、ヨーロッパの環境スクール)をうかがい、日本の状況の簡単な紹介と意見交換をしました。
ドイツはどうも、ESD=学校。
ヒアリング担当者の業務内容のせいもあるでしょうが、ほとんど学校教育が中心になってるような印象を受けました。学校が中心となって企業や地域と連帯するような事例ばかりで、日本のNGOや地方自治体が主体となった地域の活性化のような例はないのかと尋ねても、どうもうまく機能していないというのが正直なところのようです。
学校の環境教育や持続可能な発展のための教育ESDのコンセプト作りや制度では進んでいると思われているドイツですが、日本は日本流で学校制度にきっちりと組み込まないかたちで推し進めていってもよいかもしれないな、というのが私の印象です。
環境教育・ESDのパイオニア阿部治氏と川嶋直氏がベルリンの学校の校庭のエコロジー改造プロジェクトを視察されるということで同行してきました。
Grün macht Schule
というこのプロジェクトへはベルリンの学校約900校のうちのべ600校ほどが参加しています。
日本では"緑が学校をつくる"プロジェクトとして紹介されていますが、「Schule machen」という慣用句には「模範となる、手本とされる」という意味もあるそうで、"緑広がる"プロジェクトとか、Grünをエコロジーの意で取ると"エコロジーを学校に"プロジェクトとでもなりましょうか。
昨年講演で来日されたGrün macht Schuleの代表オルトルート・クールさんの案内で、それぞれ特色のある学校3校を見学しました。
クロイツベルク地区の小学校では、改造が終わった中庭の落成式のセレモニーとして、プロジェクトに関わった行政担当者や景観プランナー、建築基礎担当者、子どもたちとの植樹に参加させてもらいました。
移民の多いクロイツベルクですが、8~9割がたトルコ移民の子どもたちということで、教員が「ドイツ語で喋って!」と注意しなければならないほどでびっくり。言葉だけではなく家庭の問題も抱える子どもたちも少なくないそうですが、子どもたちが主体となった校庭のエコロジー改造はよい影響を与えているそうです。
学校のESDを推進するためのプログラムTransfer21に参加しているシュテークリッツのギムナジウムでは、マックスとパスカルという生徒が案内してくれました。
ボールが飛び出さないように改造中の校庭や、緑のカーテン、生物の授業を中心に作っているハーブや野菜の畑、コンポスト、廃木を運んできて作ったビオトープ、雨水を集めて貯まるようにしたビオトープ、虫のためのビオトープなどなど。
この学校は既に3回環境学校の認定を受けています。
なお、この学校には小さなカフェテリアがあるのですが規模が小さすぎるため、隣の市の所有地に大きな設備を作るよう生徒や保護者が要請しているそう。そのため今日なんとストがあり、登校する生徒が少なかったとのこと!
最後に訪れたシュテークリッツの小学校の校庭は、子どもたちの願いを集めて作った多様な庭。
庭の中心には岩や大きな石からなる小川が流れています。子どもたちはポンプで水をくみ出し小川に水を流して遊びます。敷地はどこもアスファルト化されてなく起伏のある土や芝生でできており、オアシスと名づけられた緑地や、ピザやケーキが焼けるかまど、大きな石のモニュメント、ハーブガーデンなどに混じって、体育の教員が運動のメニューを専門家と相談して作った遊具などが並んでいます。
訪れた放課後時には、学童保育の子どもたちがたくさん遊びまわっていました。校長先生が強調していたのは、5年前にこの校庭ができてから明らかに事故が減ったということ。以前のまっ平らの校庭だった時よりも、子どもたちは自分で気をつけるようになり、ケンカをしたりすることも格段に減っているでそうです。
この小学校は、校庭の敷地内に浄水設備(近隣の高速道路から出る排水を城下する)を設置するために市から補償金を受けることができたそうで、ラッキーだったんですね。
夕方にはTransfer21のコーディネート事務局を訪れ、ベルリン州のプロジェクトリーダーの方からドイツの学校におけるESDの概要(BLKプログラム21、Transfer21、ヨーロッパの環境スクール)をうかがい、日本の状況の簡単な紹介と意見交換をしました。
ドイツはどうも、ESD=学校。
ヒアリング担当者の業務内容のせいもあるでしょうが、ほとんど学校教育が中心になってるような印象を受けました。学校が中心となって企業や地域と連帯するような事例ばかりで、日本のNGOや地方自治体が主体となった地域の活性化のような例はないのかと尋ねても、どうもうまく機能していないというのが正直なところのようです。
学校の環境教育や持続可能な発展のための教育ESDのコンセプト作りや制度では進んでいると思われているドイツですが、日本は日本流で学校制度にきっちりと組み込まないかたちで推し進めていってもよいかもしれないな、というのが私の印象です。
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| 2008-05-23 06:15
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月刊環境情報紙グローバルネットにて”ベルリン発サステナブルライフ考”連載中。(2010年5月号〜)
NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J)のドイツ地域レポーターをやっています。
ご意見・感想、叱咤激励もお気軽に。
email: yumikov (at) excite.co.jp
写真・記事等、転載ご希望の際はご一報ください。copyright©2007 yumikov all rights reserved.
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