ベルリンからローカルな環境政策や草の根NGO・市民活動、サステナブルな暮らしなどをレポート。


by yumikov

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

1990年比じゃ不公平?―ドイツは日本の主張をどう見ているか

日本の経済界を代表する人たちは、日本の1990年度比で-6パーセントというCO2削減義務に対してよく不公平であるということを言っています。日本はオイルショックの時にかなりエネルギー効率を上げて省エネに取り組んできた。もうこれ以上は無理!という主張ですね。それに対して同じく先進国であり目標の-21パーセントに対し既に18%を削減しているドイツの専門家はどう見ているのでしょうか。

ハインリッヒ・ベル財団イェルク・ハース(Jörg Haas)氏が、気候問題を公平性の切り口から捉えた彼のブログ「公平性の雰囲気Klima der Gerechtigkeit」で日本の姿勢についてコメントしているので、一例としてご紹介します。

日本にも一理ある
ハース氏は言います。

これは、来週からバンコクで開催される気候対策の会合(AWG)を前に、北畑経済産業事務次官が「京都議定書の基準年を1990年ではなく2005年にすべきだ」と発言したことに対するコメントです。

この基準年の設定は確かにヨーロッパには有利だ」とハース氏。

「1990年時点では、ヨーロッパの一部分がまだソ連に属しており、その後システムを変えた結果、排出を急速に減らすことができた。イギリスが石炭を私営化し、天然ガスへ転換したのも1990年以降のこと。それに対し、日本はオイルショックによって随分前から効率的なエネルギー政策を講じてきた。そのため1990年以降は大きな排出削減はできていない。」
ドイツも、旧東ドイツ地域がプラス面に働いたことを承知しつつ、それに甘んじることなく京都議定書の削減義務以上の目標を掲げて更なる取り組みを行っていますが、「日本は乾いた雑巾である」という主張によりそうような発言です。

ならば日本の提案のように2005年にするのがよいかというと・・・。

「基準年を設定するものは、常に無作為で勝手なものになる。だから、日本の提案のように2005年を基準年としてもよくはならないのだ。2005年までまったく気候保護対策をしてこなかった国ばかりが得をするからだ。」

「もっと別の削減義務算出基準が必要なのだ。グランドファザリングgrandfathering)といわれる排出権を分配する原則と同種のものだ。これまで排出した分から、交渉によって決められた削減率を掛け合わせたものを基準とする。排出してきたこれまでたくさん排出してきた企業は、多くの排出権を得て、これまで排出が少なかった企業は、排出権も少ない。」

となると、日本は?

「グランドファザリングのオルタナティブとしては、次の2つの原則に基づく気候保護義務の分配が考えられる。

気候変動に対する責任(Responsibility)
損害を引き起こしたものが、それを片付ける。(汚染者負担の原則)

環境保護に対する能力(capability)
公共の福祉のために負担を負う必要があれば、能力のあるものがないものより多く負担する必要がある。

どちらの原則も気候変動枠組み条約で既に規定されている。共通ではあるが異なる責任とそれぞれの能力に応じて、公平に、今日および将来世代の気候システムを守っていくべきである。」

先日千葉で行われた気候変動、クリーンエネルギー及び持続可能な開発に関する閣僚級対話(G20・グレンイーグルズ対話)のサマリーがちょうど本日出ましたが、ここで確認された「共通だが差異のある責任と各々の能力」を彼も強調しています。

では、それを推し進めるにはどうしたら?
「まずは、昨今出版した『Greenhouse Development Rights Framework』を読んでみてほしい。日本の経済産業事務次官にも送ったほうがいいかな?基準年問題を解決できるように――」

お後がよろしいようで。
ウェブでダウンロードできるので読んでみたい。

NGOで活動していた頃、フィフティ・フィフティプロジェクトを推進している時によく問題になったのと同じことだ。フィフティ・フィフティとは、学校で省エネ活動をして、削減できた費用を半分学校に還元するしくみ。経済的インセンティブと環境教育、さらには自治体の構造改革にもなりうる(?)というベストな組み合わせだと今も思ってる。
でも、「基準年をいつにするのか?活動する前の年か?過去数年の平均値か?」「でも、それまでがんばってなかった学校が得をするじゃないか。」そういう声も多かった。
フィフティ・フィフティでは、環境教育に比重を置くところも強かったし、あの時はまだ学校に削減義務はなかった。でも温対法(地球温暖化対策推進法)が改正されたら、学校も温室効果ガスの削減対象になるのだ。そしたら??

ふぅ。公平性を追求するのは難しいなぁ。
最近勉強しているエコロジー経済学の視点でも考えてみよう。


環境関連のブログランキングに参加しています↓よかったらクリックしていってください♪
にほんブログ村 環境ブログへ
FC2 Blog Rankingエコロジーランキング

[PR]
by yumikov | 2008-03-29 00:47 | 環境のこと

最新の記事

今後はウェブサイトでお会いし..
at 2011-12-18 22:01
東京FMでドイツのエネルギー..
at 2011-11-09 10:31
グローバルネット記事『“市民..
at 2011-11-04 15:10
さよならベルリン
at 2011-10-25 22:12
グローバルネット記事『都会の..
at 2011-08-24 17:04

以前の記事

2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
more...

タグ

(68)
(63)
(49)
(31)
(29)
(28)
(27)
(24)
(22)
(21)
(20)
(17)
(15)
(14)
(12)
(12)
(9)
(7)
(5)
(3)

検索

リンク&お知らせ

プロフィールはこちら

月刊環境情報紙グローバルネットにて”ベルリン発サステナブルライフ考”連載中。(2010年5月号〜)

NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J)のドイツ地域レポーターをやっています。

ご意見・感想、叱咤激励もお気軽に。
email: yumikov (at) excite.co.jp

写真・記事等、転載ご希望の際はご一報ください。copyright©2007 yumikov all rights reserved.

●リンク●
フリードリヒスハイン周辺map

auf deutsch

「東北関東大震災」支援クリック募金

Stop

一日1クリックで 砂漠緑化に協力しよう

hejdagmo.se

フィフティ・フィフティ

ライフログ

ドイツ環境教育教本―環境を守るための宝箱

グローバルな正義を求めて

未来は緑―ドイツ緑の党新綱領

市民・地域が進める地球温暖化防止

最新のトラックバック

キャンプ場調査報告
from キャンプ場
ポツダムの地ビールBra..
from 自転車旅行@cyclingl..
Itinerary (I..
from Life is beauti..

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧