ベルリンからローカルな環境政策や草の根NGO・市民活動、サステナブルな暮らしなどをレポート。


by yumikov

プロフィールを見る
画像一覧

S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30

グローバルネット記事「ドイツ流休暇」とエコキャンピング

f0157115_17245015.gif月刊誌『グローバルネット』で連載中の「ベルリン発サステナブルライフ考」。9月号ではドイツ流の休暇の過ごし方&エコキャンピングを紹介しています。

===================================================================
以下、地球・人間環境フォーラム発行の月刊誌『グローバルネット』9月号より転載)

ドイツ語で休暇はウアラウプと言うが、この言葉は不思議な威力を持つ。「担当者はウアラウプ中」と言われてしまえばドイツではもうあきらめるしか仕方がない。代理への引き継ぎもなく、担当者の休暇明けまで(しかも数週間も!)待たされるのはザラである。休暇がそれだけ国民の権利として浸透しているとも受けとれる。世界で最も海外旅行をする国民として首位に立つドイツ人。人気があるのは、マヨルカ島、トルコ、カナリア諸島、クレタ島、エジプト、イタリアなどの地中海沿岸やアルプス。一つの場所にとどまってゆっくり休暇を過ごすのがドイツ人の典型的なスタイル。

ハイキング&湖水浴&サイクリングが人気

 ドイツ人が休暇を過ごすのは海外ばかりではない。オランダ国境にある北海沿岸のフリースラントやバルト海などのビーチ、そして自然豊かなニーダーバイエルン地方でのスパなども人気だ。リゾートは根強い人気だが、1980年代以降、ツーリズムもサステナブルな方向へと向かっている。持続可能な旅行商品の認証マークや、自然公園の「自然を活用することで守る」取り組み、フライト利用での二酸化炭素(CO2)を寄付でオフセットする制度などいろいろあるが、今回紹介するのはエコキャンプ場だ。

 国内旅行の総宿泊数が変わらないなか、農家民宿や休暇用貸し住居、キャンプ、ユースホステル利用が近年見直されている。キャンプ場の利用者数は2009年の統計で9%もアップした。私たち家族も先日シュラウベタール自然公園までサイクリングし、湖畔(写真)でキャンプしたのだが、キャンプ場の設備やサービスは意外にとても充実していた。ドイツではキャンピングカーやトレーラーハウスなどでのオートキャンプが主流と聞いていたのだが、最低限の装備でも快適に過ごすことができた。トイレやシャワーなど清潔な衛生設備(写真)に、電気コンロや大きなシンクのあるキッチン、売店にレストラン。下手なホテルよりよっぽど快適だ。また、感心したのが水道のハイテクデポジットシステムだ。飲料水は水飲み場で汲めるが、シャワーやキッチンなど下水料金が発生するものは有料で、使った分だけ支払う。前金として5ユーロ払い、IDカードを受け取る。カードがないと水は出ない。使用分が利用時に見えるシステムは節水に有効だ。設備がバリアフリーなのはもちろん、おむつ替えスペースやベビーバス付きのファミリールームまである。自然環境にとけ込んだ遊具(写真)があり、レンタサイクルもある。子供もお年寄りも、赤ちゃん連れもハンディキャップを抱える人も、本格的にも気軽にも、車で来ても自転車でも、誰でもキャンプを楽しめるようにという配慮が随所でみられた。
f0157115_174630100.jpg
f0157115_17465845.jpg
f0157115_17472274.jpg
キャンプ場の環境マネジメント

 このキャンプ場ではエコキャンピングマネジメントを導入している。欧州の環境管理・環境監査スキームEMASに準拠してキャンプ部門のために開発されたもので、EUエコラベルの基準も取り入れている。これまでドイツ、オーストリア、イタリア、スイスの計250以上のキャンプ場がECOCAMPING e.V.という団体から認定を受けている。ドイツでは1割近くがエコキャンプ場になっている。日本でも環境配慮型のキャンプ場はあるが、外部監査が入って認定を受けたり、明確な基準を公表したりしているところは見当たらない。

 マネジメント導入に当たっては、過去3年間の資源・水消費およびごみの排出量から、CO2排出量を割り出し、3年分の対策プランを練る。キャンプ場は団体から専門的なアドバイスを受けられる。現地訪問や環境マネジメントに関するワークショップ、経営者および従業員向けの講習などもある。建物の新改築に当たっては、省資源や資源効率に配慮し、その土地に適した植生を用い生物多様性を守る近自然的な場づくりをすることなどがポイントとなる。

 新しくキャンプ場を作る際には立地分析を行い、客層やインフラ、リスクなどを分析把握し、交通網との接続や、競合の有無、環境負荷とそれをいかに相殺できるか、どのようなレクリエーション設備が必要か、どんな自然体験プログラムが提供できるかなどを考える。
テーマ別セミナーで取り上げるテーマは環境から安全性、運営まで多岐に渡る。環境に関するものでは、木材ペレットや太陽熱・地熱・コジェネレーション等による温水供給や暖房、ソーラーパネル設置、建物の断熱・換気技術、省エネ意識喚起、廃棄物の発生抑制と分別徹底のアイデア、節水技術、雨水利用、安全な清掃用洗剤と従業員訓練、舗装しない道づくり、近自然的な遊具、自然体験プログラムなどがある。マネジメントは覆面調査や利用者アンケートによってもチェックされる。

 このようにエコキャンピングマネジメントの導入は、キャンプ場側には、顧客満足の向上、エネルギー・水・廃棄物のコスト削減、運営組織の改善、作業の安全性や健康保護の効率化、広報活動による国内外の市場開拓、新規顧客獲得と常連客の定着というメリットがある。また、キャンパーへ土地の自然や生物多様性、文化を体験的に伝えることでもあり、経営者そしてスタッフの環境意識を高めることでもある。ECOCAMPING e.V.の取り組みは、国連ESD(持続可能な開発のための教育)の10年のドイツオフィシャルプロジェクトにもなっている。自治体への働きかけも功を奏して、各州環境省の助成を受けた企業との協働プロジェクトなども次々と進んでいる。こうしてリューゲン島やバルト海沿岸、オーストリア・スイス国境のボーデン湖周辺、南西の黒い森地方などでエコキャンプ場が増えている。

移動は短く、気は長く

 旅好きのドイツ人。もっと国内旅行にシフトすればどれほどの経済効果になるだろうか。ドイツ人の休暇の過ごし方は素朴で質素だが、休暇の長さを考えれば影響力は計りしれない。それになんといっても交通手段の環境負荷は大きい。車社会ドイツも健在だが、格安航空会社の台頭で、長距離列車が通る場所へも人びとは気軽に飛ぶようになった。もっと移動距離を短くして列車に乗れば、車窓を眺めながらビールでも飲んで、家族や友人と普段できない話ができるかもしれない。整備されたサイクリングロードや自転車持ち込み可能な電車などの恵まれた制度は、どこの国にでもあるわけではない。活用しない手はないのだ。

 さて、私も電車に揺られて、この夏最後のウアラウプに出かけるとしよう。
===================================================================

休暇の過ごし方なんていうのはもちろん人それぞれです。フライトとホテル(食事付き)パッケージツアーに半年も前から申し込んでマヨルカ島のビーチでなんの心配もなしに10日間という人もいれば、バックパック抱えてネパールへひとり旅という人もいるし、家族でユースホステル泊もあれば、トレーラーハウスを牽引して気ままな国内旅行をする老夫婦、女友だちだけでスパでラグジュアリーマッサージも。

休暇になにをするかはともかく、日本と比べて大きく違うのは休暇がかなり市民権を得ているということ。それでもこのあいだ新聞で、休暇の申請を前もってしない人が多くて職場で影響が出て困るというような記事を読みました。法律上、「○○日前までに申請すること」というような社則を作れないようです。

字数の関係上書けなかった部分として、ドイツ人ツーリストの負の影響というのがあります。

たとえば、ドイツ人のこれまでの休暇の典型は「ビーチで横たわる」というものでした。陽の当たる季節の少ないドイツでは、陽のさんさんと射す南国は憧れの地。スペインのマヨルカ島はその代表ですが、そこではなんでもドイツ語で事足りるそう。ドイツ人にとってのハワイと言ってよいでしょう。そこでホテル客が消費する水の量たるや、なんとドイツ人の自国での消費の5倍だそう。気候が違うのでしかたがないかもしれませんが、旅の恥は云々ではないですが自分で払わないでいいなら気が済むまでシャワーを浴びちゃおうという人はどうしてもいるでしょう。

また地中海岸ではこれまで約1万2千の生物種が確認されていますが、その多様性がどんどん失われているそうです。ビーチ開発のためにセイヨウモンクアザラシなどの土地の希少動物が脅かされています。また、33種あった海鳥の9種が姿を消し、500種の植物種が絶滅の危機にさらされているそうです。日本でもこのようなことはありますがそれらは海外からの旅行者のためでしょうか?でも地中海リゾートへ一番多く詰めつめかけているのはドイツ人です。

夏は登山、冬はスキーとドイツ人が詰めかけるアルプスでは、道路や駐車場、別荘などのインフラのために埋め立てられ、自然が切り刻まれた。需要に対応しようと追加で滑走路をつくるために傾斜地が伐採され土壌の侵食を引き起こしています。

旅のスタイルも多様化しているこのご時世、皆さんはどんな旅を選びますか?
[PR]
by yumikov | 2010-09-29 17:18 | 環境のこと

最新の記事

今後はウェブサイトでお会いし..
at 2011-12-18 22:01
東京FMでドイツのエネルギー..
at 2011-11-09 10:31
グローバルネット記事『“市民..
at 2011-11-04 15:10
さよならベルリン
at 2011-10-25 22:12
グローバルネット記事『都会の..
at 2011-08-24 17:04

以前の記事

2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
more...

タグ

(68)
(63)
(49)
(31)
(29)
(28)
(27)
(24)
(22)
(21)
(20)
(17)
(15)
(14)
(12)
(12)
(9)
(7)
(5)
(3)

検索

リンク&お知らせ

プロフィールはこちら

月刊環境情報紙グローバルネットにて”ベルリン発サステナブルライフ考”連載中。(2010年5月号〜)

NPO法人「持続可能な開発のための教育の10年」推進会議(ESD-J)のドイツ地域レポーターをやっています。

ご意見・感想、叱咤激励もお気軽に。
email: yumikov (at) excite.co.jp

写真・記事等、転載ご希望の際はご一報ください。copyright©2007 yumikov all rights reserved.

●リンク●
フリードリヒスハイン周辺map

auf deutsch

「東北関東大震災」支援クリック募金

Stop

一日1クリックで 砂漠緑化に協力しよう

hejdagmo.se

フィフティ・フィフティ

ライフログ

ドイツ環境教育教本―環境を守るための宝箱

グローバルな正義を求めて

未来は緑―ドイツ緑の党新綱領

市民・地域が進める地球温暖化防止

最新のトラックバック

キャンプ場調査報告
from キャンプ場
ポツダムの地ビールBra..
from 自転車旅行@cyclingl..
Itinerary (I..
from Life is beauti..

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧